「仏さま」と聞いて、多くの人が、最初に思い浮かべる存在。それが、釈迦如来(しゃかにょらい)かもしれません。仏教のはじまりとなった人物で、歴史上、実際に生きていた、と考えられています。奈良や京都の名だたるお寺に、その像が祀られているだけでなく、「お釈迦さま」という愛称で、日本人の暮らしに、深く溶け込んでいます。
この記事では、釈迦如来がどんな存在なのか、どんな生涯を送ったのか、どんな教えを説いたのか、お姿の意味、ご利益や真言、ゆかりのお寺までを、やさしい言葉で整理します。寺院ごとに違う点は、断り書きを入れながら進めます。
釈迦如来とは?「仏陀」「お釈迦さま」との関係

釈迦如来は、仏教を開いた、歴史上の人物です。「釈迦(しゃか)」は、彼が属した部族「釈迦族(しゃかぞく)」の名前で、「釈迦牟尼(しゃかむに)」(釈迦族の聖者)とも呼ばれます。
本名は、ゴータマ・シッダールタ です。「ブッダ(仏陀(ぶっだ))」は、「悟りを開いた人」という意味の、称号です。つまり、「ブッダ」は、特定の一人の名前ではなく、「悟りを開いた人」全般を指す言葉です。その中でも、私たちが「ブッダ」「お釈迦さま」と呼ぶ時は、ほとんどの場合、このゴータマ・シッダールタのことを、指します。
「如来(にょらい)」は、「真理(如)から、来た人」という意味で、悟りを開いた仏さまの呼び名のひとつです。
ざっくり言うと
- 釈迦如来は、仏教を開いた、歴史上の人物
- 本名はゴータマ・シッダールタ。釈迦族の王子として生まれた
- 「ブッダ」は「悟りを開いた人」という意味
- 阿弥陀如来や大日如来と違い、実在した人物
- 4月8日の誕生、12月8日の悟り、2月15日の入滅は、年中行事
釈迦の生涯|王子から悟りへ
釈迦の生涯は、次のように伝えられています(年代や、細部には、諸説あります)。
| 出来事 | 内容 |
|---|---|
| 誕生 | 約2,500年前、現在のネパールにある、ルンビニで、釈迦族の王子として生まれる。「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と、語ったと伝えられる |
| 四門出遊(しもんしゅつゆう) | 城の東西南北の門から出て、老人、病人、死者、修行者に出会い、人生の苦しみを知る |
| 出家(しゅっけ) | 29歳で、王子の地位も、家族も捨てて、修行の旅に出る |
| 苦行(くぎょう) | 6年間、厳しい修行を続けるが、悟りに至らず、苦行をやめる |
| 悟り(さとり) | 35歳のころ、インドのブッダガヤの、菩提樹(ぼだいじゅ)の下で、悟りを開く |
| 初転法輪(しょてんぽうりん) | サールナート(鹿野苑(ろくやおん))で、最初の説法をする |
| 入滅(にゅうめつ) | 80歳で、クシナガラで亡くなる |
王子として、何不自由なく育った人が、「生きることの苦しみ」に気づき、それを乗り越える道を、探し求めた。この物語は、2,500年経った今も、多くの人の共感を呼んでいます。
釈迦が説いた教え|四諦と八正道
釈迦の教えは、とてもシンプルに、まとめることができます。
四諦(したい)(四つの真理)は、次のとおりです。
| 真理 | 意味 |
|---|---|
| 苦諦(くたい) | 人生には、思い通りにならない「苦しみ」がある |
| 集諦(じったい) | 苦しみには、「原因」がある(執着(しゅうじゃく)や欲望) |
| 滅諦(めったい) | 原因をなくせば、苦しみは「なくなる」 |
| 道諦(どうたい) | そのための「方法」がある(八正道) |
八正道(はっしょうどう) は、苦しみをなくすための、八つの実践です。正しい見方、正しい考え、正しい言葉、正しい行い、正しい生活、正しい努力、正しい気づき、正しい集中、の八つです。
大切なのは、「特別な力に頼る」のではなく、「ものの見方と、行いを、整えていく」 という点です。釈迦の教えは、宗教というより、「心の整え方」の実践として、受け止める人も、多くいます。
釈迦如来の姿と印相|触地印と、施無畏印・与願印
釈迦如来の姿には、次のような特徴があります。
| 特徴 | 意味 |
|---|---|
| 飾りをつけない、質素な衣 | 悟りを開いた如来の、共通した姿 |
| 蓮華座(れんげざ)に座る | 清らかな、悟りの境地 |
| 頭の盛り上がり(肉髻(にっけい))と、額の白い点(白毫(びゃくごう)) | 如来の特徴 |
| 手の形(印相(いんぞう)) | 下記の表を参照 |
手の形(印相) は、釈迦如来の場面ごとに、いくつかの種類があります。
| 印相 | 見た目 | 意味 |
|---|---|---|
| 触地印(そくちいん) | 右手を下げ、指先で地に触れる | 悟りを開いた時、大地に証人になってもらった姿 |
| 施無畏印(せむいいん) | 右手を上げる | 「恐れなくてよい」と、安心を与える |
| 与願印(よがんいん) | 左手を下げ、手のひらを見せる | 願いを、かなえる |
| 転法輪印(てんぼうりんいん) | 両手を胸の前で組む | 教えを説く姿 |
釈迦如来のご利益|心の安らぎ・智慧・厄除け
釈迦如来のご利益として、よく語られるのは、次のようなことです。
- 心の安らぎ:仏教の教えの源として、心を静める
- 智慧(ちえ):ものごとを、正しく見る力
- 厄除け・災難除け:仏さまとして、人々を守る
- 家内安全:家庭の、安らぎを願う
- 迷いを断つ:悟りへの道を、示してくれる
ご利益は、結果を約束するものではありません。釈迦如来は、「願いをかなえてくれる仏さま」というより、「正しい道を、示してくれた先生」として、受け止める人も多くいます。
釈迦如来と阿弥陀如来・大日如来・薬師如来との違い
「如来」と呼ばれる仏さまは、何人もいます。違いを整理してみます。
| 仏さま | 特徴 | 釈迦如来との違い |
|---|---|---|
| 釈迦如来 | 歴史上の人物。仏教を開いた | 現実の世界に生きた人 |
| 阿弥陀如来(あみだにょらい) | 西方の極楽浄土の仏 | 経典に説かれる、歴史上の人物ではない仏 |
| 大日如来(だいにちにょらい) | 宇宙そのものを表す仏。密教の中心 | 釈迦は、大日如来の、現れのひとつとする考え方も |
| 薬師如来(やくしにょらい) | 病を癒やす、東方の仏 | 経典に説かれる仏 |
釈迦如来は、実際に生きた人物である、という点が、最大の違いです。ほかの如来は、経典の中で説かれた、理想の仏さまとして、信仰されています。
釈迦如来の梵字(バク)と真言|お唱えする前に
仏さまの働きを表す短い言葉を、真言(しんごん) といいます。釈迦如来の真言は、一般に次のように伝えられています。
のうまく さまんだ ぼだなん ばく
読み方や書き方は、流派によって少し違うことがあります。
梵字(ぼんじ) は、仏さまの象徴となる一文字で、「種子(しゅじ)」と呼ばれます。もとは古代インドの文字です。釈迦如来の梵字は、「バク」です。お守りや掛軸などで、目にすることがあります。
何回唱えるかは、自由です。お寺で教わった作法があれば、それに従ってください。
釈迦の年中行事|花まつり・成道会・涅槃会
釈迦如来には、決まった縁日(えんにち)はありません。代わりに、釈迦の生涯にちなむ、年中行事 が、お寺で行われます。
| 日付 | 行事 | 内容 |
|---|---|---|
| 4月8日 | 花まつり(灌仏会(かんぶつえ)) | 釈迦の誕生を祝う。誕生仏に、甘茶(あまちゃ)をかける |
| 12月8日 | 成道会(じょうどうえ) | 釈迦が悟りを開いた日を、祝う |
| 2月15日 | 涅槃会(ねはんえ) | 釈迦が亡くなった日に、その教えを偲ぶ |
とくに、花まつりでは、「誕生仏(たんじょうぶつ)」に甘茶をかけて、お祝いする風習が、広く親しまれています。子どもたちが、お寺に集まる、春の行事です。
守り本尊(まもりほんぞん)(生まれた干支で決まる、自分を守る仏さま)の、八体には、釈迦如来は含まれていません。
釈迦如来に会えるお寺
釈迦如来に会える、代表的なお寺を挙げます。
| 場所 | お寺 | 特徴 |
|---|---|---|
| 奈良 | 法隆寺(ほうりゅうじ) | 金堂の釈迦三尊像(国宝)。飛鳥時代の名作 |
| 京都・嵯峨野(さがの) | 清凉寺(せいりょうじ)(嵯峨釈迦堂) | 釈迦如来立像(国宝)。インドから中国を経て伝わったとされる |
| 奈良 | 室生寺(むろうじ) | 弥勒堂の釈迦如来坐像(国宝)など。山あいの、静かなお寺 |
お参りの作法:お寺では、拍手(かしわで)は打たず、静かに手を合わせて(合掌(がっしょう))、一礼します。花まつりの日は、子どもたちも多く訪れ、にぎやかな雰囲気になります。堂内の撮影や拝観のきまりは、お寺ごとに違うので、掲示を確認してください。
暮らしに取り入れる、釈迦如来とのつながり方
釈迦如来は、「悩みすぎて、苦しい時」に、思い出したい存在です。今日から、次のような小さな行いを選んでみてください。
| 行い | 意味 | おすすめの人 |
|---|---|---|
| 「今、何に悩んでいるか」を、紙に書く | 苦の「原因」を、見つめる(集諦) | 悩みが、漠然としている人 |
| 「手放せることは、ないか」と考える | 執着を、ゆるめる(滅諦) | 抱えこみがちな人 |
| 一日の終わりに、深呼吸を3回する | 「正しい気づき」を、練習する | 気持ちが、落ち着かない人 |
| 「ありがとう」を、丁寧に伝える | 「正しい言葉」を、意識する | 言葉が、荒くなりがちな人 |
| 4月8日に、静かに手を合わせる | 花まつりに、心を寄せる | 季節の行事を、大切にしたい人 |
釈迦如来でよく聞かれること
Q. 釈迦は、神さまですか?
いいえ。釈迦は、神ではなく、「悟りを開いた人間」です。仏教は、「神に祈る」というより、「自分で、迷いを乗り越える道」を示す教えとして、始まりました。
Q. 仏さまとは、みんな釈迦のことですか?
いいえ。釈迦は、その中のひとりです。「仏」は、「悟りを開いた人」という意味で、釈迦のほかにも、阿弥陀如来や大日如来など、様々な仏さまが、信仰されています。
Q. 花まつりで、なぜ甘茶をかけるのですか?
釈迦が生まれた時、天から甘露(かんろ)の雨が降り注いだ、という伝説に、ちなんでいます。お寺では、誕生仏に、甘茶をかけ、参拝者も、甘茶をいただくことがあります。
オラクルカードで釈迦如来が出た時のメッセージ
オラクルカードなどで「釈迦如来」が出た時に、よく読まれるメッセージです。
- 悩みは、自分の見方から:ものの見方を、少し変えてみる
- 手放していい:執着を、ゆるめる時
- 静かに座る:心を整える、時間をつくる
- 道は、開かれている:迷いの先に、進む道がある
デッキの解説書がある場合は、そちらを優先してください。ここでは、一般的な読み方を挙げています。
まとめ|悩みの先に、道はある
釈迦如来は、王子の地位を捨て、悩みぬいた末に悟りを開き、その道を、私たちに示してくれた人です。「悩むことは、悪いことではない。そこから、始まる道がある」というメッセージは、今を生きる私たちにも、届きます。まずは今日、深呼吸を三回して、心を静かに整えてみましょう。
占い・診断コンテンツのご利用前に免責事項をご確認ください。

