奈良の東大寺(とうだいじ)にある、あの大きな大仏さま。修学旅行や、家族旅行で、一度は見上げたことがある方も、多いでしょう。あの大仏さまが、毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)です。「盧舎那仏(るしゃなぶつ)」とも書かれ、「光を、あまねく照らす仏さま」という意味の名前を持っています。
この記事では、毘盧遮那仏がどんな仏さまなのか、名前の意味、奈良の大仏の物語、華厳経(けごんきょう)に説かれる世界、大日如来(だいにちにょらい)との関係、姿や手の形、会えるお寺までを、やさしい言葉で整理します。宗派や寺院で説明が違う点は、その都度、書き分けます。
毘盧遮那仏とは?名前の意味と、「光をあまねく照らす」仏

毘盧遮那仏は、如来(にょらい)のひとりです。如来とは、悟り(さとり)を開いた仏さまのことです。
名前は、サンスクリット語の「ヴァイローチャナ」を、漢字に写したものです。「光明遍照(こうみょうへんじょう)」と訳され、「光が、あまねく(すべてに)行きわたり、照らす」 という意味です。「毘盧遮那仏」のほか、「盧舎那仏」とも書かれ、どちらも、同じ仏さまを表します。
毘盧遮那仏は、「華厳経(けごんきょう)」という、お経の中心に立つ、仏さまです。華厳経は、「すべてのものが、互いに関わり合い、光を放ち合っている」 という、壮大な世界観を説いています。毘盧遮那仏は、その世界の中心で、光を放ち続ける存在です。
ざっくり言うと
- 毘盧遮那仏は、奈良・東大寺の大仏として知られる仏さま
- 名前の意味は「光明遍照(光を、あまねく照らす)」
- 「華厳経」の中心の仏で、華厳宗(けごんしゅう)の本尊
- 密教では、大日如来と同じ仏とみなす考え方がある
- すべてが、つながり合っている、という教えを表す
蓮の花の台座に座る姿|毘盧遮那仏の姿と手の形
毘盧遮那仏の姿には、次のような特徴があります。
| 特徴 | 意味 |
|---|---|
| 蓮華座(れんげざ)に座る | 清らかな、悟りの境地 |
| 大きな体(東大寺の大仏は、約15メートル) | 世界全体を、包み込む仏の大きさ |
| 右手を上げる(施無畏印(せむいいん)) | 「恐れなくてよい」と、安心を与える |
| 左手を下げる(与願印(よがんいん)) | 願いを、聞き入れる |
| 台座(蓮の花びら)に刻まれた世界 | 華厳経が説く、「蓮華蔵世界(れんげぞうせかい)」 |
| 光背(こうはい) | 光を、あまねく照らす |
東大寺の大仏の台座の、蓮の花びらには、細かい線で、華厳経の世界 が、刻まれています。一枚の花びらの中に、世界のすべてが、描かれている、という考え方です。
奈良の大仏はなぜ造られたのか
奈良の大仏は、奈良時代、聖武天皇(しょうむてんのう) の発願で造られました。
当時の日本は、疫病(えきびょう)や、天災、争いが続き、人々は、苦しんでいました。聖武天皇は、「仏の力で、国を安らかにしたい」と願い、743年に、大仏を造る詔(みことのり)を出します。そして、多くの人々の協力を得て、752年に、大仏開眼供養(かいげんくよう)が行われました。
この大仏造りには、「一人ひとりが、力を出し合って、一つのものを、つくりあげる」 という意味も、込められていました。華厳経の「すべてが、つながり合っている」という教えと、重なります。
大仏は、長い歴史の中で、戦火などにより、二度、大きな被害を受けました。そのたびに、人々の力で、修復され、今に、伝えられています。現在の大仏殿は、江戸時代に、再建されたものです。
毘盧遮那仏のご利益|国の安泰・心の広がり・平和
毘盧遮那仏のご利益として、よく語られるのは、次のようなことです。
- 国家安泰・平和:聖武天皇が、大仏に託した願い
- 心の広がり:世界を、包み込む、大きな視点
- 人とのつながり:「すべてが、関わり合っている」という教え
- 厄除け・災難除け:疫病や、災いを、鎮める願い
- 感謝の心:あらゆるものに、支えられていると、気づく
「叶う・叶わない」の結果だけで、ご利益を測らなくて大丈夫です。毘盧遮那仏は、「大きな視点で、世界を見つめ直す」きっかけを、与えてくれる存在と、受け止めてみてください。
たとえば、悩みで、視野が狭くなっている時に、「自分は、大きな世界の、つながりの中に、いる」と、思い出してみる。それだけでも、肩の力が、すっと抜ける、という声があります。
毘盧遮那仏と大日如来・釈迦如来・阿弥陀如来との違い
毘盧遮那仏は、名前が似た仏さまと、混同されやすい存在です。整理してみます。
| 仏さま | 特徴 | 毘盧遮那仏との違い |
|---|---|---|
| 大日如来(だいにちにょらい) | 密教の中心。宇宙そのものを表す | 同じ仏の、別の呼び名とする考え方がある。宗派によって位置づけが違う |
| 釈迦如来(しゃかにょらい) | 仏教を開いた、実在の人物 | 毘盧遮那仏は、釈迦の悟りの内容を、仏の姿にした存在とも説明される |
| 阿弥陀如来(あみだにょらい) | 西方の極楽浄土の仏 | 阿弥陀は「救い」、毘盧遮那は「光と、つながり」 |
| 薬師如来(やくしにょらい) | 病を癒やす、東方の仏 | 姿や役割が異なる |
華厳宗 では、毘盧遮那仏を、宇宙の真理を表す仏として、中心に据えます。真言宗 などの密教では、大日如来と、同じ仏の別の名前、あるいは、深いつながりを持つ仏と、受け止める考え方があります。宗派によって、見方が違う点は、大切に、受け止めてください。
毘盧遮那仏の真言・梵字の基本
毘盧遮那仏の真言は、大日如来と共通して、唱えられることが多いです。代表的な真言は、光明真言(こうみょうしんごん) です。
おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらばりたや うん
「べいろしゃのう」が、毘盧遮那の名前に、対応しています。言葉の表記は、宗派や寺院で少しずつ異なります。
梵字(ぼんじ) は、古代インドで使われた文字です。仏さまを一文字で表したものを、「種子(しゅじ)」といいます。毘盧遮那仏の梵字は、大日如来と共通して、「バン」などが使われることがあります(流派によって異なります)。
回数や声の大きさに、決まりはありません。宗派やお寺の教えがあれば、そちらに従ってください。
毘盧遮那仏の縁日・守り本尊を確認しよう
毘盧遮那仏の縁日(えんにち)は、広く知られた決まった日は、はっきりしていません。法要の日は、お寺によって違うため、事前に公式の案内を見ておくと安心です。
なお、大日如来を「未年(ひつじどし)・申年(さるどし)」の守り本尊とする考え方があり、密教では、毘盧遮那仏と大日如来を、同じ仏さまとする見方もあります。
毘盧遮那仏に会える、寺院とお出かけのヒント
毘盧遮那仏に会える、代表的なお寺を挙げます。
| 場所 | お寺 | 特徴 |
|---|---|---|
| 奈良 | 東大寺(とうだいじ) | 大仏(盧舎那仏坐像、国宝)。高さ約15メートル。世界最大級の、銅の仏像 |
| 奈良 | 唐招提寺(とうしょうだいじ) | 金堂の盧舎那仏坐像(国宝)。天平(てんぴょう)時代の名作 |
お寺での作法:手を合わせて(合掌(がっしょう))頭を下げます。神社のような拍手は、打たないのが一般的です。東大寺の大仏殿は、大変な人気で、混み合います。朝の早い時間や、平日に出かけると、ゆっくりお参りできます。大仏殿の中では、大仏の顔だけでなく、台座や、周りの脇侍の像にも、目を向けてみてください。境内では声を落とし、案内板や係の方の指示を守りましょう。
毘盧遮那仏を感じる、心の整え方
毘盧遮那仏は、「視野を広げたい時」「人とのつながりを、思い出したい時」に、心を向けたい仏さまです。特別な準備は要りません。次の中から始められます。
| 行い | 意味 | おすすめの人 |
|---|---|---|
| 「今日、自分を支えてくれた人」を、3人思い浮かべる | すべてが、つながっていることを、感じる | 孤独を、感じやすい人 |
| 空を、ぼんやり眺める | 「世界の広がり」を、感じる | 悩みで、視野が狭くなっている人 |
| 感謝を、誰かに一言伝える | 光を、分け合う | 感謝を、口にしそびれている人 |
| 身の回りの物が、どこから来たかを、考えてみる | つながりに、思いを馳せる | 日々が、あわただしい人 |
| 大きな目標を、小さく分けてみる | 大仏造りのように、力を合わせて進む | 大きな目標に、圧倒されている人 |
毘盧遮那仏を調べていて気になること
Q. 「毘盧遮那仏」と「盧舎那仏」は、違いますか?
同じ仏さまです。漢字の表記が、異なるだけです。東大寺では、「盧舎那仏」の表記が、よく使われます。
Q. 奈良の大仏の、大きさは?
高さは、約15メートルです。銅で造られた、金銅仏(こんどうぶつ)で、世界的にも、大きな像として、知られています。
Q. 大日如来との違いは、何ですか?
華厳宗と、真言宗などで、見方が異なります。密教では、毘盧遮那仏を、大日如来と、同じ仏の別名と捉える考え方があります。一方、華厳宗では、華厳経の、中心の仏さまとして、独自に位置づけます。どちらの見方も、大切にされてきました。
オラクルカードで毘盧遮那仏が出た時のメッセージ
オラクルカードなどで「毘盧遮那仏」が出た時に、よく読まれるメッセージです。
- つながりを、思い出して:あなたは、ひとりではない
- 視野を広げて:大きな世界の中で、今を見つめる
- 光を分け合って:小さな親切が、広がる
- 力を合わせて:大きなことも、みんなでなら成し遂げられる
カードの意味に、決まった正解はありません。
まとめ|すべては、つながり合っている
毘盧遮那仏は、光をあまねく照らし、すべてのつながりを、教えてくれる仏さまです。奈良の大仏を見上げた時の、あの「大きな安心感」は、その教えの、表れなのかもしれません。まずは今日、今日あなたを支えてくれた人を、心の中で、三人思い浮かべてみましょう。
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